むーさんの宇宙衝撃雑学

ようこそ、知ってはいけない宇宙の漆黒へ。
ブラックホールの恐怖、崩壊する天体、NASAも驚愕した宇宙の裏の姿を暴く。

YouTubeで最新の宇宙衝撃雑学を見る

ピンクの惑星GJ 504b、大気の中に「塩の雲」が見つかった話

Uncategorized
この記事は約3分で読めます。

地球から57光年ほど先に、淡いピンク色をした巨大なガス惑星がある。名前はGJ 504b。発見は2013年、すばる望遠鏡を使った日本主導の観測プロジェクトによるものだった。

この惑星が当時から天文学者の間で話題になっていたのは、その色のせいだ。木星のような巨大ガス惑星は、茶色がかったり青みがかったりすることが多い。ところがGJ 504bは、暗闇に咲く一輪の薔薇を思わせるような、深いマゼンタ色に光っていた。

なぜこんな色になるのか。その答えは13年間、はっきりしないままだった。地上の望遠鏡では、この惑星から届く赤外線が弱すぎて、大気の成分を細かく分析できなかったからだ。

その状況を変えたのが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)だ。2026年6月、JWSTはGJ 504bに観測機器を向け、わずか2時間ほどでこの惑星の分光データを取得した。地上の望遠鏡が何十時間かけても解像できなかった光を、短時間で読み解いてしまったことになる。

そして得られたデータから、ある物質の存在が確認された。「結晶化した塩の雲」だ。理論上は15年以上前から予測されていたものの、直接観測された例はこれまでなかった。


なぜ「塩の雲」ができるのか

地球の雲は水や氷でできているが、GJ 504bの雲はまったく違う成分でできている。「塩」というと食卓塩を思い浮かべるかもしれないが、ここで言う塩はもう少し広い意味で、ナトリウムやカリウムなど、さまざまな金属元素が結晶化したものを指す。

GJ 504bは木星の数倍の質量を持つガス惑星で、誕生から25億〜40億年が経っていると見積もられている。生まれたばかりの頃は自身の重力収縮による熱で表面温度が1000℃を超えていたとされ、このときは金属元素も気体として大気中に溶け込んでいた。

数十億年という時間をかけて惑星がゆっくり冷えていく中で、気体だった金属元素が凝固し、結晶となって大気中に浮かぶようになる。これが塩の雲の正体だ。そしてこの雲が中心星からの光を複雑に散乱させることで、あのピンク色が生まれているらしい、ということが今回の観測でようやく裏付けられた。

塩の雲があっても、海があるわけではない

「塩の雲」と聞くと、塩水の海や生命の可能性を想像する人もいるかもしれないが、それは話が別だ。

GJ 504bは木星型のガス惑星であり、地球のような固体の地表面はない。液体の海も存在しない。あるのは、超高圧・高温のガスが渦巻く内部と、それを覆う冷えた金属結晶の霧だけだ。仮に何かがこの惑星に降りていこうとしても、足をつける場所はなく、そのまま大気の奥へ沈んでいくことになる。見た目の美しさとは裏腹に、環境としてはかなり過酷な惑星だ。


理論が、ようやく観測に裏付けられた

ガス惑星が冷えていく過程で塩の雲が生じるという予測自体は、以前からシミュレーション上で存在していた。ただ、それを実際の観測データで確認した例は、今回が初めてになる。

理論として予測されていたことが直接観測で裏付けられるというのは、天文学では地味だがそれなりに大きな出来事だ。GJ 504bという一つの惑星の色の謎が解けたことで、似たような年齢や質量を持つ他の巨大ガス惑星の大気についても、より正確な予測ができるようになっていくのかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました